
焦土と化した戦後の街を舞台に、少年たちが「二十面相」を名乗る怪人を追う長編ミステリ。背景には炎に包まれた瓦礫の風景が広がり、その中央に山高帽とマントをまとった怪人らしき影が逆光で立ち上がる。赤と黒、燃え残った金色が混ざり合う絵画調のイラストレーションは、戦災の生々しさと往年の探偵小説のロマンを同時に呼び起こす。タイトル文字は白く明朝で大きく抜かれ、廃墟の上に静かに浮かぶ。荒廃と娯楽、追憶と謎解きが一枚の絵に重なる装丁である。
著辻真先
装丁石松経章
装画大庭賢哉
光文社 / 2017年
文学・評論