
AI、ゲノム、重力波——科学記者である著者が、専門化が進む現代の科学を市井の視点でどう読み解くかを綴ったエッセイ集。表紙は、ざらりとした質感のベージュ地に、栓のついたガラス瓶を線画で大きく据えた構図。瓶のなかには夜空と月、宇宙飛行士、ロケット、植物や生き物が小さく描き込まれ、瓶の外側には男女の人物が静かに立つ。タイトルの墨色の和文活字は瓶のシルエットを縁取るように配置され、内側の世界と外側の眼差しの距離を画面上に成立させている。閉じられた「科学」の容器をどう覗き、どう受けとめるかという主題を、表紙そのものが図解している一冊。

著工藤純子
装丁坂川朱音
カバー写真田中達也+MINIATURE CALENDAR
講談社 / 2023年
文学・評論