
タイトルが示すのは、十六夜の月が照らす一軒の館と、そこに綴られるノート。古い洋館を舞台に、夜の手触りを宿した一冊である。カバーには、紅い花が群れ咲くなかにノートとペンを携えた少女が浮かび、向き合うように別の人物の手が伸ばされる。スカートには夜空と星座、足元には小さなイーゼル。白地を大きく残した繊細な線描の脇に、墨で起こしたような縦組みの題字がすっと立つ。十六夜という時間の温度が、画面そのものに閉じ込められている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論