
大正期の奈良監獄を舞台に、無実の罪で収監された二人——繊細な数学教師と天真爛漫な印刷工——が脱獄を企てる長編小説。表紙には月夜に浮かぶ赤煉瓦造りの監獄が深い青の闇に沈み、アーチ門の前に立つ二人の人物がシルエットで描かれる。タイトルは縦組みの白い明朝体で右側に大きく抜かれ、要素紹介の帯文には黄色の縁取りで「数学教師」「印刷工」と添える。荘厳な近代建築の質感と、夜空に舞うコウモリの不穏さが、史実の重みと冒険譚の躍動を同居させている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論