
地下に取り残された目も耳も使えない女性の救出を、ドローン越しに導く青年の指先に託す——閉塞と希望が交錯する長編ミステリ。暗緑に沈む瓦礫の地下空間を俯瞰で捉えた装画は、中央に立つ小さな人影と、上方から差し込むドローンのライトが唯一の光源となり、絶望的な広がりと一筋の導線を同時に提示する。和文タイトルは余白を生かした白の明朝で大きく置かれ、背景の薄い欧文ロゴと重なって、声なき声が闇に響くような奥行きを生んでいる。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論