
京都・東山の邸宅を舞台に、ある「先生」と訪れる人々が織りなす日々を描く長編。著者の人気シリーズに連なる、京都を舞台にした人情譚である。カバーは燃え立つ紅葉に縁取られたサンルームの情景を中心に据え、ステンドグラスの天窓から差す光、向かい合って本を読む二人の姿を、繊細な線と発色の良い印刷で描き出す。タイトルは縦組みの白縁取りと墨色を使い分け、赤と緑の補色をまとめ上げる。秋の京都の温度と、屋内に流れる静かな時間。物語の舞台そのものを、一枚の絵として閉じ込めた装画である。

著友井羊
装丁bookwall
装画日下明
双葉社 / 2023年
文学・評論