
江戸の麻布、わけありの客たちが集う酒場を女がひとりで切り盛りする——そんな時代小説の文庫装い。表紙には浮世絵の筆致を思わせる賑やかな店内図が広がり、中央に立つ髷の女将を取り囲むように、ちろりや猪口を手にした町人や侍が車座になっている。左端には招き猫、卓上には小皿の肴。柱と障子の格子が奥行きを支え、温かみのある朱と褐色のなかに女将の唐茶の前掛けが効いている。書名は左の生成りの縦帯に、著者名は右の黒帯に置かれ、絵の喧噪を端正に整える設えだ。
著宇山佳佑
装丁高橋健二
装画LAL!ROLE
集英社 / 2018年
文学・評論