
室町期、くじ引きで将軍となった足利義教と、彼に運命を翻弄される隻腕の少女を描く歴史長篇。万人恐怖と呼ばれた将軍と、未来に絶望した少女、二人の交錯が物語の軸となる。表紙では、刀を構える女と烏帽子姿の男が並び立つ人物画が中央に据えられ、背景の金箔めいた淡い黄土と、唐草文様を思わせる地紋が王朝絵巻の気配を漂わせる。題字は墨筆の手書きで大きく縦に流れ、朱の帯文がその脇から物語の熱を立ちのぼらせる。古色と人物の眼差しが、乱世を生きる二人の覚悟を静かに伝えている。

著中島京子
装丁大久保明子
装画麻野みどり
文藝春秋 / 2015年
文学・評論