
日常に紛れ込んだ怪を、著者が見聞きしたまま綴る実話怪談集。気味の悪い不条理から強力な呪い、温かい感触まで、ふと触れてしまう異界の手触りが拾い集められている。表紙は薄紫から淡い青へ滑らかに移ろう空を背景に、白い月をくり抜いたなかから黄色い目を光らせる黒猫の顔、ふわりと落ちる羽根、棘のついた草の実、淡くにじむ花の影がコラージュのように配されている。マゼンタの縦組み文字が静かに画面を貫き、夢と現の境を漂う気配を立ち上げている。

著RobothamMichael、田辺千幸
装丁ヤマシタツトム
装画都築まゆ美
二見書房 / 2021年
文学・評論