
宮沢賢治の作品世界を新たに編み直した一冊。原作の言葉に編者が寄り添い、童話の余白から立ち上がる星々の物語を再構成している。表紙は白地に淡い線で描かれた星座図が画面全体を覆い、中央には小さな人物がのぞき込む小窓のような額装が据えられる。そこには時計、植物、ガラス瓶、人形めいた小物が細密に色鉛筆で描き込まれ、リボン状の黄色いタイトル帯が物語の入口を示す。星図と標本箱、ふたつの宇宙が同居する装画が、賢治の世界に通じる小さな扉として機能している。
著内藤正典
装丁阿津侑三
ミシマ社 / 2016年
人文・思想