
ある家族の日常と、その先に訪れる「その日」までの時間を描く長編小説。淡いクリーム色の地に、ピンク一色で刷られたイラストレーションが配される。こたつを囲む四人、鍋を運ぶ人物、買い物袋を提げて出かける人物、足元に積まれた本——生活の細部が線描で点在し、家族それぞれの距離と動きが一枚の中に同居している。手書きの明朝体タイトルは右上に整然と据えられ、賑やかな場面に静けさを与える。穏やかな単色が、過ぎゆく日々の温度をそっと留めている。
著宮下奈都
装丁鈴木久美
装画布川愛子
光文社 / 2017年
文学・評論