
思春期のままならなさや、誰かに届かない気持ちをすくいあげる短編集。タイトルどおり、桜の季節に手紙や言葉を交わす少女たちの淡い心の動きが綴られる。表紙では、白い布をまとった少女が後ろ姿で立ち、ほつれた長い髪と襞のあるスカート、たるんだソックスがやわらかな筆致で描かれる。淡い桃色の花びらが宙を舞い、薄水色の壁と木の床の質感までが水彩のにじみで掬われる。題字は鮮やかな桜色で、画面全体の透明感をきりりと引き締めている。背を向けた佇まいが、語られない感情の奥行きをそのまま画面に置く。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論