
40歳から41歳までの一年間、日々の出来事と、その日に「書かなかったこと」の割合を記録した日記集。言葉になった経験だけでなく、沈黙やためらいまでを数値として残す仕掛けが、記憶と記録のあいだにある余白を浮かび上がらせる。各日記に呼応する「日記を読んだ日記」のイラストも収録。白地の中央に上下反転した二つの場面を置き、手書きの青い題字を四辺へ巡らせた表紙は、読む向きを一つに固定しない。視線を回転させる構成が、書かれた側と書かれなかった側を行き来する本書の構造を、そのまま一枚の画面にしている。

著葦舟ナツ
装丁カマベヨシヒコ
装画げみ
KADOKAWA / 2017年
文学・評論