文学・評論
天才ハッカー安部響子と五分間の相棒
一田和樹
天才的なハッキング能力を持つ少女・安部響子を主人公に、五分間という限られた時間で展開するサイバーミステリ。デジタルの世界を舞台にしながらも、人と人との関わりや少女の心の機微を描き出す一冊。表紙はモニターに囲まれた室内に、青いワンピース姿の少女が裸足で腰掛けマグを傾ける一場面を、淡い水彩のにじみと光の粒で柔らかく包む。縦組みの題字は中央に大きく据えられ、画面上下を破線の帯で挟むことで、画像処理を思わせる構図に仕立てている。冷たい技術の話題を、息づかいの聞こえる距離感まで引き寄せる装丁である。