
博物館の収蔵庫を舞台に、箕作博士のもとへ持ち込まれる謎を解いていく連作ミステリ。標本やアンモナイト、恐竜の骨格、鉱物といった自然史の断片が物語の鍵になる。表紙はその収蔵室そのものを切り取った構図で、本を開いた人物と宙に浮かぶ少女、散らばる結晶や化石が幻想的に配される。タイトル文字は鮮やかな黄で大胆に重ね、暗がりに沈む室内とのコントラストが「ファントム」の語を浮かび上がらせる。理知と幻想が同居する物語の気配を、一枚の絵で見せている。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論