
森や樹木、緑にまつわる物語を集めた文学アンソロジー。日本近代以降の作家たちが、森の記憶を通して語った短編や随筆を編んだ一冊で、自然と人の精神が交差する系譜をたどる。黒地に金の枠とリボン状の題字帯が額縁のように画面を囲み、その内側に細密な線描で少女と植物群が浮かび上がる。モノクロームのドレスや髪の陰影と、背景に咲き乱れる薔薇や蔓草の密度が、童話的な郷愁とゴシックの気配を同時に纏わせる。森という場所の、明るさと薄暗さの両方を一枚に閉じ込めた装いだ。
著服部みれい
装丁中島基文
装画平松モモコ
筑摩書房 / 2016年
人文・思想