
戦後の高度経済成長期を背景に、三姉妹をめぐる結婚と恋愛の駆け引きを軽妙に描いた長編小説。文庫版のカバーは、白地の中央にショートカットの女性三人の顔をシンプルなアイコンとして配し、墨一色のフラットなイラストでまとめている。輪郭線も陰影もなく、髪の塊と最小限の目鼻だけで個性を描き分けるミニマルな造形が、軽やかでありながらどこか芯のある三人の女性像を立ち上げる。縦組みのタイトルと著者名は太めの和文書体で左右に振り分けられ、余白がそのまま物語の風通しになっている。古典的な題材を、現代の目線で読み直すための入り口として機能する一冊。

著唯野未歩子
装丁藤田知子
装画網中いづる
筑摩書房 / 2018年
文学・評論