
結婚を「ゴール」や「幸福の手段」として語る通念を退け、長く続けるための作法として論じた一冊。日々の暮らしを引き受ける関係のかたちを、軽やかな語り口でほどいていく。表紙はやわらかな水彩で描かれた居間の情景で、ペンダントライト、丸い鏡、ダイニングと低いソファが淡いブルーグレーに沈む。タイトルと著者名は珊瑚色の手描き風の和文で置かれ、線の温度がインテリアの静けさを和らげる。生活の気配を留めた画面と人肌に近い文字色が、結婚という主題の現実味と親しさを同時に差し出している。

著吉原真里
装丁木下悠
装画ナガノチサト
アルテスパブリッシング / 2023年
文学・評論