
晩年のマルクスが辿った最後の旅路を追うノンフィクション。思想家としてではなく、ひとりの人間としての姿に光を当てる。表紙は灰色を基調に、白い髭と蝶ネクタイの人物が大きなトランクを携えて立つ姿を、フラットなイラストレーションで描く。頭部と脚部を断ち切る構図が旅の途上に立ち会うような時間性を生み、無彩色のトーンは思想史の重みと旅情の静けさを同時に湛える。原題のドイツ語が小さく添えられ、伝記としての確かな足取りをそっと示している。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論