
長い黒髪に赤いセーター、黒のミニスカートの少女が中央に立ち、ハンバーガーやフライドポテト、ジュースを手に、足元には大きな鉛筆や三角定規、コンパスといった学用品が散らばる。学校生活の日常と、少女の存在を取り巻く小さな祝祭感が同居する青春小説の表情だ。タイトルは水色の手描き風書体で大きく組まれ、背景の木板塀には赤と黄の素朴な花が点描のように配される。線画とフラットな塗りで統一されたイラストレーションが、軽やかな口語的書名と響き合い、等身大の物語に少しだけ神話の気配を添えている。
著澤見彰
装丁新潮社装幀室
装画合田里美
新潮社 / 2018年
文学・評論