
戦中から戦後にかけて長崎を生きるカトリックの少女サチ子の半生を描いた長篇の第二部。信仰と恋、戦争と喪失のあいだに置かれた一人の女性の運命が、静かな筆致で綴られる。表紙は淡い水彩で描かれた洋館の前に佇む少女像。白いブラウスと黒いスカート、強張った口元と真っ直ぐな視線が、繁る草木の緑に包まれて浮かび上がる。タイトル文字は緑から黄へと色を移し、少女の立つ庭の光と呼応する。物語の透明な悲しみが、にじむ水彩の余白からたしかに立ち上がってくる。
著畠中恵
装丁新潮社装幀室
装画柴田ゆう
新潮社 / 2018年
文学・評論