
名探偵にして作家・法月綸太郎が登場する連作短編集。古典本格の意匠を受け継ぎながら、ミステリの仕掛けと作家自身の影を重ね合わせる作品が並ぶ。カバーは舞台の幕前に立つ男の後ろ姿を中央に据え、左奥には剣やステッキを携えた人物の影が緑のシルエットで並ぶ。深い臙脂のカーテン、客席を埋める落ち着いた茶と金、足元に転がる小さな赤い球。タイトルは舞台照明のような黄で縦に走り、英字の副題が小さく添えられる。事件の幕が上がる直前の張りつめた静けさを、絵そのものに封じ込めた一冊。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論