
副題に「佐藤誠はなぜ首を切断したのか?」と掲げる、ある事件をめぐる一冊。黒地の上に傘をさす人影が青緑のシルエットで立ち、首から上の輪郭は背景へ溶けて欠落している。周囲にはオレンジの飛沫めいた塗りと、白い梯子、ビル群の影が幾何学的に重ねられ、写真と版画的処理の境界を曖昧にしたコラージュが画面を覆う。タイトルは縦組みの明朝で右上に、英文ロゴは小さなサンセリフで左上に配置。事件の不穏と、それを遠くから覗き込む視線が一枚に同居している。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論