
歌舞伎の隈取りを思わせる人物画を主役に据えた、俳句指南書。型を踏まえつつ型を破る作者の姿勢が、書名にある「生き抜くための」という切実さと響き合う。表紙は墨一色のモノクロ線画で大きく顔を描き、見得を切るような目力と歯を剥く口元を画面いっぱいに配する。タイトルは縦書きの白抜きで、鮮烈なマゼンタの帯状地に乗せて中央右上に据えられ、下部には同じピンクの吹き出しと推薦コメントが大胆に重なる。漫画的な筆致と歌舞伎の様式美、そして俗な販促の熱量を一枚の中に同居させ、俳句の懐の深さを視覚化している。

著かとうれい
装丁松田行正
河出書房新社 / 2019年
アート・建築・デザイン