
代々木上原で四十年続いた小さな町の本屋「幸福書房」。店主が日々の仕入れと客との関わりのなかで積み上げてきた、ささやかで確かな商いの記録である。表紙は白地を大きく余白として残し、上半分にニット帽姿で段ボールを抱える店主のモノクロ写真を小さく配置。下半分にはタイトルを濃いピンクで縦組みに据え、脇に推薦文と「お客様の一人ひとりの顔を思い浮かべます」という一節を細い明朝で添える。装丁の控えめな佇まいが、町の片隅で続いた一軒の灯りをそのまま紙面に移したかのようだ。

著かとうれい
装丁松田行正
河出書房新社 / 2019年
アート・建築・デザイン