
親の老いと死に向き合う日々を、自身の体験と取材から綴ったノンフィクション。介護、看取り、葬送という誰もがいつか通る道のりを、感傷に流されない筆致で記録した一冊である。表紙は夕焼けに染まる田園の一本道を、運転席のハンドル越しに望む構図のイラストレーション。バックミラーに映る一匹の犬、傾いていく陽、電柱の連なりが、帰路ともつかぬ道行きを静かに示す。タイトルは白い帯状の余白に黒の明朝で一字ずつ据えられ、絵の温度と対をなす落ち着きを与えている。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論