
夜更けの繁華街、深夜のLINE、付き合わないけれどするセックス。短い断片を積み重ねるように、現代の若者の私生活を等身大の文体で写し取った新世代の私小説。表紙には街灯にもたれる女性を捉えた夜の路上スナップが据えられ、橙の街路灯と滲む赤いテールランプ、白いガードレールが夜気を運ぶ。タイトルは鮮やかなマゼンタの縦組みで写真の上に重なり、スマホ画面に届く通知のように像と文字が並走する。写真の温度と書体の鋭さの落差が、本書の語りの距離感をそのまま示している。

著黒沢咲
装丁三瓶可南子
装画たえ
河出書房新社 / 2022年
文学・評論