
2014–2021年の作品をまとめた、繊細な筆致の人物画で知られる画家の第二画集。少女小説や文芸書の装画で見せてきた仕事が一冊に集成されている。表紙は、緑の瞳をのぞかせた少女が両手で顔半分を覆う構図。背景に咲き乱れる紅い花、肩に流れる孔雀羽根、編み込まれた髪と細い金鎖が淡い色面のなかに溶け合い、水彩のにじみを残した余白が透明感を生む。タイトルは細い明朝で静かに置かれ、絵の濃密さと書体の慎ましさが拮抗しながら、画家の世界へ静かに招き入れる一冊となっている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論