文学・評論
妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ
峰守ひろかず
妖怪に関する文献や絵巻を読み解く解析官・神代宇路子が、人魚伝説の真偽を追う事件譚。古今東西の怪異資料が交差する書斎の奥で、嘘と真が静かにせり上がる。表紙は、書物や巻物、瓶詰の標本らしき品々で埋め尽くされた書棚を背景に、赤いアームチェアへ深く腰掛ける白衣の人物を真正面から据えた俯瞰構図。壁に貼られた龍や妖の図像、足元に転がる靴と床に置かれた肖像画が、研究者の孤独な日常と異界への接点を同時に示す。タイトルは右側に黄縁の和文字で堂々と配され、博物学的画面の密度を引き締めている。