
かつて昭和の街にあった「赤帽」「ロバのパン屋」「紙芝居屋」など、いまは姿を消した職業をイラストと文章で記録する一冊。クラフト紙を思わせる素朴な茶色地に、黒一色の線描で当時の職人や子どもたちが点描風に配され、タイトル文字だけが大きく白抜きで前に出る構成。手書き風の細かな書き込みと余白が古い図鑑の頁を開いたような手触りを生み、装丁そのものが「記憶のなかから取り出された記録」という本の役割を静かに体現している。

著工藤純子
装丁坂川朱音
カバー写真田中達也+MINIATURE CALENDAR
講談社 / 2023年
文学・評論