
ヒーロー不在の時代は終わった」と告げ、「まだ噛みつく牙はあるか」と読み手に問う一作。奴隷と金、反逆と欲望をめぐる物語が始まる気配を、表紙そのものが体現している。装丁は上半分にくすんだ茶のバンドを大胆に走らせ、英文タイトルと和文の問いかけだけを置く。下半分は黒と白のペン画で、トレンチコートの男と摩天楼、斜めに傾いだロゴ、新聞のような台詞コマが画面を切り裂く。茶と黒白、静と動。配色と構図の対比が、物語の不穏な熱を端的に予告する。

著兎月竜之介
装丁アフターグロウ
装画フライ
KADOKAWA / 2017年
文学・評論