
放課後の教室を舞台にした青春小説。窓辺の机に座る制服姿の少女と、その傍らに立つ男子生徒。ふたりの何気ない一場面が、淡い水彩のタッチでやわらかく描かれる。黄緑や黄色に塗られた机の天板、窓から差し込む白い光、室内に流れる風までもが透けて見えるような透明感のある画面構成。タイトルと著者名は短冊状の白い縦長プレートに収め、「恋人」の二文字だけを朱で際立たせる。線画の繊細さと余白の使い方が、思春期のひと時に宿るためらいと淡い熱を、控えめに、しかし確かに浮かび上がらせている。

著井沢元彦
装丁大原由衣
装画村田涼平
KADOKAWA / 2018年
文学・評論