
山口県の限界集落で起きた連続殺人放火事件を、傍聴ライターが現地に通って追ったルポルタージュ。閉ざされた村の人間関係と、それを取り巻く噂の連鎖を淡々とした筆致で記録する。鮮烈な黄色を地に、白い帯状の余白へ大きな明朝体で書名を縦組みし、舗装路の奥へ続く山あいの白黒写真を窓のように配置。彩度を落とした帯と無機質なグレーの矩形が、明るい黄色との間に不穏な温度差を生む。装丁そのものが、平穏な土地に潜む暗部を覗き込むような心理に観る者を誘い込む。
装丁芥陽子
装画牛久保雅美
晶文社 / 2020年
エンターテイメント