
子を持たない人生を選んだ韓国女性たちの声を集めたノンフィクション。「母性が足りない」「一人前になれない」と向けられる視線のなかで、それでも自分の暮らしを肯定する人々の悩みと喜びを丁寧にすくい取る一冊です。表紙は白地に細い線で描かれた二人の女性が、赤いテーブルを挟んで猫を撫でながら語らう構図。線画のやわらかさと、画面下半分を占める鮮烈な朱赤が対比をなし、揺れる紙片が会話のざわめきを示す。タイトルの縦組みは余白を広く取り、断言の重みを静かに支える。声をあげることと、日常を慈しむこと——その両立を装丁そのものが体現している。

著クォンナミ、藤田、麗子、ライター
装丁鳴田小夜子
装画花松あゆみ
平凡社 / 2024年
文学・評論