
警視庁犯罪被害者ケア係に属する刑事・神野現人を主人公に据えたミステリ小説。被害者に寄り添う立場でありながら「横暴」と評される男の振る舞いを通じて、正義のかたちを問い直す一作と思われる。表紙は白地を大きく取り、王座を思わせる装飾的な椅子に脚を組んで腰かけるスーツ姿の男を線画で描く。椅子の座面と背もたれ、そしてネクタイにのみ強い赤を差し、タイトル「神様刑事」は太い明朝でモノクロの人物像と並ぶ。抑制された配色と玉座のモチーフが、主人公の傲岸さと聖性の二面を静かに示唆している。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論