
廃校に残された幼馴染の死体、ふいに消えた兄——二つの密室をめぐる青春本格ミステリ。「また、人が消えたんだ」という静かな独白が、物語の不穏な気配を予告する。表紙では、青みを帯びた陰影のなかで伏し目がちな少女が大きく描かれ、その上を赤い手書きの線や矢印が走る。背後には窓枠の格子が重なり、閉ざされた室内の気配を呼ぶ。冷ややかな青と血を思わせる赤、繊細な筆致と荒い書き込み——相反する層の重なりが、密室という閉じた空間の緊張をそのまま立ち上げている。
著雫井脩介
装丁高柳雅人
装画牧野千穂
KADOKAWA / 2016年
文学・評論