
夜のビル屋上、フェンス越しに街と空を見つめる若者の後ろ姿。星と土星や木星らしき惑星が浮かぶ群青の空が広がり、屋上のタイル床と街灯りが冷たく光る。表題作「星降プラネタリウム」を含む、夜空と人の物語を束ねた短編集である。表紙は夜の青を基調にしながら、人物の上着のオレンジが一点だけ温度を持ち、孤独と希望の輪郭をやわらかく示す。線画タッチのイラストと細い明朝・丸みのあるカタカナの組み合わせが、空想と現実の境目に立つ気配を静かに引き寄せる。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論