
異郷で出会う二人の交感を描く長編。短い髪の人物と長い金髪の人物が向かい合い、互いの視線を確かめるように立つ姿が、淡い雲の流れる空を背景に切り取られている。色とりどりの幾何学模様が織り込まれた羽織りものや、房飾りのついた帯、布の重なりが繊細な線描で描き分けられ、民族衣装の手仕事の質感が伝わる。タイトルは紫がかった筆致で配され、英語の副題が斜めに添えられて装画の余韻をそっと引き受けている。視線と布の物語が、静かに頁の奥へと続いていく一冊。
著瀬川貴次
装丁大原由衣
装画ヒコ
KADOKAWA / 2015年
文学・評論