
アン・タイラーが描く、不器用な中年男性のやり直しの物語。独りでも構わないはずが、ふと寂しさがよぎる——そんな人生の機微を、巨匠が静かに掬いとる。カバーは赤煉瓦の連なる街並みと、傍らに立つ赤い消火栓を水彩で描いたイラストレーション。にじみを残した筆致と、紅葉した街路樹のオレンジが、舞台となる住宅街の生活感をやわらかく伝える。タイトルの「赤毛」は表紙のなかでひとつの赤い点として置かれ、絵と物語をそっと結んでいる。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論