
臨床心理士として現場に立ってきた著者が、検索すれば何でも見つかる時代に、かえって自分の心だけが見つからなくなる感覚を綴ったエッセイ。淡い水色の空と、干上がったような白い大地に細い街灯がいくつも立ち並ぶイラストレーションが表紙を覆い、遠くには稜線、手前には小舟に乗る二つの小さな人影が描かれる。タイトルは白い吹き出しのような余白に黒で静かに収まり、果てしない景色のなかで「見つからないもの」を探し続ける手触りを、一枚の絵として差し出している。
著あさのあつこ
装丁新潮社装幀室
装画最上さちこ
新潮社 / 2017年
文学・評論