
スパイになり損ねた者たちの哀しみと可笑しみを描く、不条理と諧謔を孕んだ長編小説。鮮烈なイエローを背景に、拳銃と酒瓶を手にしたリスが赤いクラシックカーの上に腰かける、緻密なペン画と平面的な配色のコントラストが効いた構図。タイトルは白抜きの手描き文字で柔らかく揺らぎ、英題「THE BALLAD OF AN OLD SPY」が小さく寄り添う。動物の写実的な毛並みと寓話めいたモチーフの取り合わせが、軽妙さの奥にひそむ憂いを静かに予感させる装丁。

著燃え殻
装丁新潮社装幀室
装画秋本翼
新潮社 / 2018年
文学・評論