
大正・昭和の詩人たちが「キャラクター」として息づく、近代詩をめぐる異色の文芸コミック。萩原朔太郎の詩集に由来するタイトルが示すように、詩の言葉そのものが物語の骨格となっている。深い藍と青緑に沈んだ背景には縦書きの詩句が雨のように流れ落ち、その手前に黒い和装の人物が物憂げに佇む。足元には白い小花が群れ咲き、湿った叙情と幽けさを同時に湛えた色面構成。タイトル文字は手書き風の毛筆で大きく右に置かれ、巻数は囲み数字で静かに添えられる。詩と人物が混じり合う水底のような一枚。

著安藤祐介
装丁岡本歌織
カバー写真森清
講談社 / 2018年
文学・評論