
経済学の知見を武器に談合事件へ挑む捜査員を描く、異色の経済ミステリ。淡い水色の地に、シャツ姿で前のめりに机へ手を伸ばす青年と、積み上げられた書物、テイクアウトのカップが線画でやわらかく置かれる。背景には需要供給曲線や効用関数らしき数式が手書き風に散り、思考の痕跡そのものが装飾となる。太い明朝のタイトルが画面を縦に貫き、軽やかなイラストに知的な重みを与えて、数式で世界を読み解く物語の佇まいを掌中におさめている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論