
母により外界から隔てられた屋敷で、鉱物の名を与えられた幼い兄妹たちが静かに時を重ねていく物語。表紙には、ほつれた古書のページの上に置かれた琥珀色の小さな塊と、その傍らにちんまりと立つ少年の人形。背後には枯れ枝の影が淡く伸び、画面全体はくすんだ灰と褐色に沈む。標本箱を覗き込むような静謐な距離と、写真と立体物を組み合わせたコラージュ的な構図が、閉ざされた時間のなかで凝固していく記憶の手触りをそのまま物語の入口に差し出している。

著勝田文、山田風太郎
装丁名和田耕平デザイン事務所
講談社 / 2020年
コミック・ラノベ・BL