
単行本未収録の短編6編を編んだ作品集。表題作は挿絵画家とその妻、揺れる心理を描き、『紀ノ川』へとつながる系譜を示す。表紙は、横顔の女性像をブルーとマゼンタの二色面で大胆に分割する平面的なイラストレーション。輪郭線をほとんど用いず、髪・耳飾り・伏し気味の眼差しだけを白抜きで残す構図が、ひとりの女が複数の像として記憶される不安定さを静かに立ち上げる。題字は明朝の縦組みで余白に置かれ、図像の強さと釣り合っている。
著EcoUmberto、中山悦子
装丁岡本デザイン室
装画北澤平祐
河出書房新社 / 2018年
文学・評論