
平安時代の後宮を舞台に、女性の薬師が不可思議な病や怪事件を解き明かしていく連作短編。「平安あやかし草紙」シリーズの著者による"お仕事小説"で、若き日の安倍晴明も登場する。淡い生成り地にイラストを配し、画面左に肉太の明朝で縦組みのタイトルを大きく置く構成。柑橘らしき実を掲げる男性と椀を抱える女性の対が穏やかな筆致で描かれ、衣の文様や髪の流れに細やかな線が走る。古典的な意匠と読みやすい書体が、雅と謎解きの軽やかさを同じ画面で両立させている。
著小路幸也
装丁小川恵子
装画中村至宏
PHP研究所 / 2018年
文学・評論