
深夜の放送局を舞台に、ささやかな不思議とリスナーの声が交わる物語。マンガ的なタッチで描かれたカバーには、ヘッドホンを着けて卓に向かう女性と、原稿を手に何かを指し示す男性が並び、その背には灯る「ON-AIR」のサイン、振り子時計、宙を漂う封筒や三日月、星々が散る。藍色の夜空を地にして、スタジオの一角だけが暖色の光に包まれる構成が、午前零時の放送室にだけ流れる静かな時間と、電波越しに届く声の温度をそっと立ち上げている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論