文学・評論
平安あや解き草紙 その後宮、百花繚乱にて
小田菜摘
平安王朝の後宮を舞台に、貴族社会の機微や人間関係の「綾」を解きほぐしていく物語シリーズの一冊。表紙には檜扇をかざす長い黒髪の女性が、十二単を思わせる重ね着で描かれる。深い紫と臙脂を基調に、若草色の円窓を背景に置き、衣の文様には小花や唐花の意匠が細やかに散らされている。中央のタイトル枠は白地に明朝の縦組み、「解き」だけが朱で強調され、絵巻物の余白を借りたような静けさを持つ。華やかさと知的な静謐が同居する装いが、宮廷を読み解くという主題に静かに重なっていく。