
本格ミステリから幻想・ホラーまで、短編五作を収めた作品集の完全版。表題作をはじめ、不穏な謎めいた物語が並ぶ。カバーは深いマゼンタから黒へ流れるグラデーションを背景に、長い黒髪の少女が両手で自らの顔を覆い、指の隙間から赤く濡れた眼が覗くイラストレーション。タイトルの「人」字が画面上部に大きく配され、細い明朝の著者名と英題が縦横に静かに添えられる。帯は鮮やかなピンクで、本体の色と響き合いながら不穏さを増幅する。視線を奪う凄艶な装画と引き締まった文字組みが、収録作の妖しさを言外に伝えている。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論