
1995年の渋谷を舞台に、街に集まる少年たちの揺らぎを描いた長編。モノクロームで切り取られた交差点の雑踏が上半分を占め、看板やビルが空へとせり上がる構図が、世紀末の街の熱と匿名性を立ち上げる。下半分は深い黒に沈められ、白抜きの「95」が画面の中央でひときわ大きく置かれている。数字の上に小さく添えられた「キュウゴー」のカナが、固有名詞のように年号を呼び戻す。写真と余白、ノイズと静けさの落差が、過ぎ去った季節を遠くから見つめ直すような距離感を生んでいる。

著山田宗樹
装丁須田杏菜
装画みっちぇ
KADOKAWA / 2020年
文学・評論